top of page
  • 執筆者の写真主催者 Nao

志賀高原ヒルクライム 立哨レポート

こんにちは。主催者のMizuki Naoです。

昨年9月に、長野県で行われた志賀高原ヒルクライムのお手伝いに行ってきました。

輪'sの松本コーチが技術委員長を務めたこの大会を、スタッフとしての目線から振り返ってみたいと思います。

ちなみにタイトルの立哨とは、コース上に立ってレースの安全管理をする人のことです。



コースについて

志賀高原ヒルクライムは、志賀高原サンバレー駐車場からスタートし、ゴールは渋峠となっています。

スタートからいきなり急斜度の坂がありますが、そこを乗り越えると斜度も緩み、標高の高さから気温もほどほど。

夏でも気持ちの良いコースとなっています。


・距離 13.1km

・平均斜度 5.6%

・獲得標高 上り743m 下り32m


ゴールからさらに少し先に進むとすぐに群馬県に突入し、国道最高地点の碑が建てられています。

ゴール後に脚に余裕のある方は、ぜひ見に行ってみてください。


▲晴れていると、この向こうに綺麗な景色が見られます。



試走について

数日前の荒天から開催が心配されましたが、幸い道路状況に問題はなく、当日は晴れて自転車日和となりました。

前日にコースを試走して道路状況を確認。

(女性陣は車から道路状況確認しつつ応援)

マップを見ながら、落車の起こりそうなポイントを目で見て確認していきます。

明日、選手として走るであろう方々もたくさん走っていました。


ゴール手前にある横手山ドライブインでは、熊笹ソフトが食べられます。

ほんのり笹の香りがしますが、味にクセがなくおいしいです。


▲横手山ドライブインの2階では、景色を眺めながら食事が楽しめます。



前日打ち合わせ

夕方から、立哨スタッフ向けのレクチャータイム。

顔合わせをして、旗の振り方やホイッスルの使い方などを確認しました。

はじめて立哨にあたるという方もいたので、松本コーチからのオーダーで、安全対策について私から簡単にレクチャーしました。

私は応急手当普及員という資格を持っており、救命講習を開いて、人に教えることができるというものです。

輪'sのサポーターにも、救命のための最低限のことを教えています。


▲「下りコーナーで落車が起きたら」という想定で、どこに立ってどのように旗を振れば後続の巻き込みを防げるか、ということをレクチャーしました。


サブコーチのヒルさんが落車した人の役をしてくれたのですが、宿泊所近くの広い場所がここしかなかったので、アスファルトの上で倒れてもらうことに。

本人は、自分じゃなくて(大事な)自転車の下に毛布敷いてほしい…と言っていました(笑)


ヒルクライムの現場で救護活動が必要なレベルの落車が起きるとすれば、それは帰路、下りの場面です。

落車が起きた場合は、すぐさま近くの立哨員がホイッスルを吹いたり旗を振ったりします。

つづら折りで見通しの悪い道では、前方の状況を知る際に、立哨員の合図だけが頼りになることもあります。

落車が起きた時、立哨員の一番優先すべき仕事は、落車した人を助けることではなく、二次被害を出さないことです。

レースに出ている皆さんは、旗の色の意味をご存知でしょうか。

安全に配慮した大会であれば、スタート前に旗の意味の説明があると思うので、必ず聞いてくださいね。


ヒルクライムは初心者向けとは言われていますが、登ったら当然下りもあります。

安全に下るには本来知識や技術が必要で、初心者といえどしっかり練習しておかなくてはなりません。

自信のない人は、周りにつられて無理な速度を出さないように気を付けましょう。



当日の朝

まだ月が煌々と浮かんでいる時間、夏とはいえ高原の朝は冷えます。

まずは集合場所で朝昼のお弁当と無線を受け取り、直前の打ち合わせをした後にバスで各立哨ポイントへ。


▲集合は朝の4:30。


松本コーチは、技術委員長という肩書からか、スーツジャケットを着用していました。(写真撮ればよかったです)


私は人員配置の都合で、予定していた立哨ではなく、車の助手席から最後尾選手の位置情報を共有する役に。

各ポイントをこの時間までに通過しないと完走できないという、いわゆる足切りタイムがあるのですが、最後尾の選手がその時間に間に合わないと判断した場合に、リタイアを促す役でもあります。

「天使の声で(やさしく)足切りを宣言してね」

と言われ、なんて残酷な役目…と思ったものです。



▲ようやく空が明るくなってきました。


立哨員たちは、暗い中コース上に一人ずつバスから降ろされて、レースが始まるまでは基本的に待機ですが、交通規制の間は気を抜けません。

全員配置の後間もなく交通規制がはじまります。

規制開始後にコース上を車両が通行していた場合、即座に無線で本部や各立哨員に情報共有し、停車させて交通規制について説明、待機をお願いしなくてはいけません。

ちょうどこの大会の少し前に、ツールド北海道での事故があったこともあり、大会スタッフは皆かなりの緊張感を持って臨みました。



▲スタート地点に選手が次々と集まってきました。


スタートは6:45から、時差で10組が出走します。

動画をInstagramに載せているので、よろしければご覧ください。




レース開始から下山まで

昨年はコロナウイルスが長く蔓延した影響か、スタートからすぐの急坂区間で足切りがあったそうですが、今年は皆さん順調に登っていき、最後まで天使の出番なく無事にゴール!

残念ながら、途中パンクでリタイアした選手を除いて、全員が完走できました。

足切りタイムまで15分以上の余裕を残して、最後尾車も無事登頂。


▲朝は雲が多かった空も、すっかり晴れ。



▲早くゴールした人は、下山開始まで時間があるので、休憩したりロープウェイを楽しんだりしていました。



▲ゴール地点より。遠くには雲海も見えました。


下山時は、私は先導車に乗り換え、コースの安全を確認しつつ先頭の位置情報を無線で共有する役に。

ゲストライダーの方々を後部座席に乗せ、各ポイントの立哨員の様子も確認しつつ、先頭集団が見える距離で先行していきます。

コースクリアの確認が済み、定刻に出発。


下りは各グループにペースメーカーとなるライダーがついており、時速30km前後で安全に下山させてくれます。

つづら折り区間では後続の様子が見づらいため、特に緊張する時間でした。

後部座席では、ゲストの方々がおもしろそうな動画編集の話をしていて、こんなタイミングでなければ私もちゃんと話が聞きたかったです(笑)



蓮池まで下ってくれば大会は終了。

記録を確認し、皆さん爽やかな表情で帰っていかれました。

「お疲れ様です。気を付けてお帰りください」と声をかけると、皆さんとてもいい笑顔で「お疲れ様です!」と元気よく返してくださる方ばかりでした。

早朝から働きっぱなしですっかりお昼ご飯を食べ損ねていた私ですが、皆さんから元気をもらえました。

ありがとうございました。


すべての選手が下山し、立哨スタッフも順にバスで回収。

運営スタッフはまだまだ仕事が残っていますが、私たちの仕事はこれにて終了です!

無線を返却し、無事ミッションを完遂できました。


9月とはいえ、気候はまだまだ夏。

志賀高原から下界に降りると、猛烈な暑さにびっくり!

先ほどまで上着を着ていたのが信じられないくらいの気温差でした。

志賀高原がいかに快適だったか…

景色も良く食べ物もおいしく、とても良い場所での大会だったと思います。



▲ご当地グルメを堪能しつつの2日間でした。



立哨スタッフとしての業務を終えて

スタッフとして大会の運営の一部を見ることができ、貴重な経験をすることができました。

その中で、特にイレギュラーへの対応については考えさせられるものがありました。


大会の運営においては、事前に綿密な計画が練られていますが、そのうえで現場はいつでも最善を求めて考えを巡らせています。

私も企画者として、事前の計画はしっかり立ててイベントに臨みますが、イレギュラーは必ず起こるものです。

その時その時で、即座に判断しなければなりません。


特にこれほどの大会ともなれば、関わる人はスタッフだけでも数百人…何が起きても不思議ではありません。

ただ、いざその時になって判断できる人物がトップに一人しかいないのと、現場に複数いるのとでは、対応の早さが違います。

イレギュラーへの対応は早ければ早いほど、全体への影響は少なく済みます。


現場で判断できる人材の豊富さは、安全でより良いイベントに直結すると感じました。

私はこれまでも度々、人材育成が課題だと発言してきました。

この大会を経て、私の「育てたい人物像」にまた新たな要素が追加されました。



さいごに

大会の中で、お世話になりました皆様に、改めて感謝申し上げます。

また、参加された皆様もお疲れ様でした。

来年も参加したいという声がたくさん聞こえ、とても良い大会だったと思います。

またどこかの大会でお会いしましょう。

ありがとうございました!








閲覧数:13回0件のコメント
記事: Blog2 Post
bottom of page